柚月裕子 「ウツボカズラの甘い息」
今回は人からの貰いものです。この作品は色んなところで紹介されているのを見たことがあります。
日頃の忙しさで女性としての磨きを一切しなくなっていた女性はあるとき中学の元同級生と出会う。中学時代は美少女だった自分のことを覚えていた同級生は化粧品販売の公演を依頼してくる。それを機に化粧や体形を改善することに喜びを見出し始めた。しかしその後、元同級生のビジネス仲間が殺害される。無実であるが元同級生が突然姿を消したことと自身の持つ解離症から元同級生は幻覚だったとされ逮捕されてしまう。元同級生は本当に存在したのか?というお話。
全500ページを超える長編ミステリーです。刑事視点と上記女性側視点の二つで話が進んでいきます。
女性側では自分が化粧品販売によってどんどん変わっていく様を書いており、刑事側では証言に出てくる元同級生の痕跡を追っていく姿を書いています。
「どんでん返しがすごい」と高い評価を聞いてたのですが、これはどんでん返しとは違うと思います。
というのも元同級生を追うときに今までまったく出てこなかった人物が次々出てきてそれを辿るような状態になっているからです。今まで出てきていた人物とのつながりが上手く隠されていて最後にお披露目、というのであれば「どんでん返し」と言えると思いますが、この作品ではただの後出しに見えてしまいました。また犯人に目星がついてから終盤が物凄く雑に片付けられています。「え、これで終わるの?」という拍子抜けな感じです。中盤までは面白かっただけに勿体無い印象で終わってしまいました。
高評価をしている方が多いので私の読み方が悪かったのかもしれませんが、自分の感じた書評を正直に書かせてもらいました。
読まない方がいい、とは言いませんが自分の中でイマイチだったので人には薦めません。