伊岡瞬 「乙霧村の七人」
たまにはホラー系ミステリーもいいかと思い、ちょっと気になっていた作品を買ってみました。
主人公は女子大学生。サークルの旅行で人里離れた集落へ向かっていた。その集落では22年前に一家5人が惨殺され、犯人も死亡するという事件が起きていた。集落でメンバーたちが散策していると、斧を持った大男が一行に襲い掛かってくるという話。
これは読まなくていい作品です。ホラーとしてもミステリーとしても読んでいて面白い点がない。
ミステリーとしてみるとかなり酷い。後付け感が強すぎて事件の真相を知っても「ふーん、そう」くらいにしか思えず、驚きは何もなかった。主人公の正体が隠し玉のようでしたが、そのネタはすでにだいぶ前の「このミステリーがすごい!」で1位の作品でやってしまっているのでまるでダメです。
ホラーとしてみると唯一まともなのは序盤で書かれている過去の惨劇の表現がグロテスクなことだけ。
大男に襲われ始めても恐怖感がまるでなかった。真相が明かされてその理由はわかったのですが、それでもイマイチなのは変わらなかった。
これだったら序盤のグロテスク路線をそのままにパニックホラーにしてしまった方がまだ何とかなったと思います。
この作家さんは初めて読むので楽しみにしていたのですが残念な印象になってしまいました。