花の本棚

読んだ本の感想や考えたことを書いています

宇佐美まこと 愚者の毒

宇佐美まこと 「愚者の毒」
本屋に平積みされているのを見て買ってみました。



主人公は職安で出会った葉子と希美という二人の女性。妹の息子を引き取ったことで常にお金に困っていた葉子は希美の紹介で希美の知り合いの家で家政婦として働きだす。息子ともども住み込みで働いていたところ、家の主の息子に惹かれはじめたが自分と言葉を発することの出来ない息子を受けて入れてもらえまいと悩む。そこで希美の知り合いの弁護士に相談したところ息子を養子に出してはどうかと提案される。義理の息子がいなければ・・・と何度も思ってきたが本当にそれで幸せになれるのか?と苦悩するというお話。

全体通して暗めな内容のミステリーでした。ミステリーだけでなく社会問題的な話も盛り込まれています。
ミステリーとしての質もかなり高いです。序盤を読んでた時は社会問題のみの本かと思ってたんですが、中盤からの伏線の拾い方がうまい。あの場面ってここに繋がってるのか、と何度か驚かされました。

この作品全体のテーマとして「自身のしたことは後になって必ず戻ってくる」と読めました。このテーマでミステリー部分も構築されているので流し読みすると後ろで出てきた時の驚きが減ってしまうので、しっかり読んだ方が楽しめます。

人に攻撃されたときどうするか?というのは個性がかなり出る部分だと思います。
攻撃されたらすぐにやり返さないと気が済まない人、反撃した後のさらなる相手からの攻撃が怖くて我慢する人、様々なパターンを見たことがあります。私はダメージ貯めて、良いタイミングでまとめて返すタイプです。反撃に対しての反撃、となると面倒臭いので、攻撃するときは一撃で殺すつもり行きます。ジワジワ長時間の拷問のような仕打ち受けて死ぬより一回で首刎ねてあげる方が幸せなのだから私の方が優しい。攻撃した後の人間関係や仕事に支障が出ることを心配する方がいますが、人を攻撃するにはそれらを全部捨てるくらいの覚悟が必要なのです。それが出来ないなら我慢するしかありません。
という考えなので本書に出てくる「自身のしたことは後になって必ず戻ってくる」には共感できるところがありました。
最近ミステリーはハズレ続きだったので、ましてや読んだことない作家読むのは二の足踏んでたんですがこれは当たりでした。
この作家の作品読んでみようかと思うくらいです。