花の本棚

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東野圭吾 祈りの幕が降りる時

東野圭吾 「祈りの幕が降りる時」
先月からこの作品の映画が始まりましたね。
買った当時は中を見ないで手に取って加賀シリーズの新作と気づいたんですよ。
今回は加賀の母親に関する事件です。



演出家の女性のもとに幼馴染が訪ねて来るが、その数日後で遺体で発見される。一方加賀は母親がどのような余生を送ったのかを調べるために動いていた。また渦中の演出家とも面識があったために捜査に協力していくというお話。

この本のテーマは「幸せな人生とは何か」だと思われる。
様々な事情や過去を抱えていても、それが不幸な人生になるかは本人がどう受け止めるかで決まる、と言っているように見えました。
家族、人とのつながり、経済力、など何が満たされたら幸せを感じるかは自分だけが知ってるものです。他人に損害を与えさえしなければ、何をして幸福を得ようと本人が良ければいい、というのが私の考えです。
他人にはそこが見えないので「あなたのことを思って」なんて無責任なことを言ったりしますが、本人にとっては満たされた人生であれば良い。

もう一つ大事な内容として「大切な人のためにどこまで出来るか」もありました。
この本の中では家族を想う気持ち、が全面に出されていた。一見反発しあっているように見えてもその内心には絆があったりもします。
最近は色んなところで「人とのつながり」がトレンドですが、ここで言う「人」に家族は入ってないだろうな、と私は見ています。「私こんなに家族と仲良いんだよ!」と話しても周りから羨望の目で見てもらえないからかな、と勝手に思ってます。脱サラした怪しげな経営者(?)と繋がりがある、という方が承認欲が満たされるのでしょう。こういった風潮なのに結婚した途端にマイホームパパ&イクメンに急転身しなくてはならない男性はちょっと不憫だなと思ったり。
私は今まで家族には支えてもらってきているので、世間の風潮は無視して最優先で大切にしようという気持ちでいます。

ミステリーよりも人間模様寄りな今回の作品。感動系の話なので映画で見ると本とは違う面白さがたぶんあると思います。
このシリーズは安定して面白いのでどこから読んでも大丈夫です。