花の本棚

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下村敦史 闇に香る嘘

下村敦史 「闇に香る嘘」

タイトルが気になって買ってみました。乱歩賞受賞作品です。
 

 

主人公は全盲の男性。兄に孫の娘の肝臓移植のための検査を受けてくれるよう頼むと検査すら拒否されてしまう。そんな兄は中国残留孤児で永住帰国したという過去があり、そのときに他人とすり替わったのではと疑問を持つ。
視認で兄を確認出来ない主人公のもとに本当の兄と名乗る人物から電話があり、助けてほしいと懇願される。兄は果たして本物なのか、偽物ならなぜ母親は兄を受け入れたのかを探るというお話。

ミステリーとしてよく出来てる作品です。作中に大小いろんな伏線がひかれていますが、ちゃんと回収されます。ここまで納得できる形で回収しきってる作品はなかなか無い
主人公が全盲という設定も上手く出来てる。視覚情報がないからこそ別の感覚で手がかり得たり、視覚があったらまず出来ないであろう謎が残ったりしている。

なんとなくで読み始めた作品でしたが当たりなミステリーでした。一風変わったミステリーを読んでみたい人におすすめです。