花の本棚

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西馬舜人 ヴァーチャル霊能者K

西馬舜人 「ヴァーチャル霊能者K」
あらすじを見て題材が面白そうだったので読んでみました。

 

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主人公は大学の論文の題材とするために人気ヴァーチャルアイドルのパーティーイベントにやって来ていた。ファンとの交流の様子を見ていてもヴァーチャルと思えないほどの人間味を彼女は持っていた。しかしパーティー中に彼女は突如急変し会場内の電子機器を操って人々を殺害し始めた。ともに逃げ延びた霊能力者によるとヴァーチャルアイドルに悪霊が取り付いて元々いた演者を殺害し自立して動いていると判明する。ネット上にいる彼女の悪霊を除霊するためにヴァーチャル除霊師で対抗を試みるというお話。
 
SFホラー系の作品となります。
VTuberといったバーチャルコンテンツは今人気であり、それがもし悪霊だったらどうやって除霊するか?というのが気になって読んでみたところ、物語の設定、発想が非常に上手いです。ヴァーチャルの悪霊は電子媒体だから古来の人が発する呪文や文字は認識しないので効かないがそれらをQRコード機械語にすることで通じるようになるなど作中に出てきた設定は現実味もありそうで良いと思いました。
作品の雰囲気はかなりライトに作られています。ということもありそこまでディープな描写はないのでホラーと分類されてはいますがどちらかというとエンターテインメント系と思って良いです。
気になったのは上で物語の設定が上手いと述べたのですが知見がない人はどう思うかという点です。私はこれらの知見を持っていたので理解できましたが、もし分からなかったらこの作品の面白い点が減ってしまうかもしれません。
 
他の作品が見当たらないことから西馬さんはおそらくデビューから間もない方だと思いますので、今後の活動にもぜひ期待したいということで紹介しました。