花の本棚

読んだ本の感想や考えたことを書いています

東野圭吾 恋のゴンドラ

東野圭吾 「恋のゴンドラ」
何も考えずに読めるものと思い買ってみました。
 

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スキー場上を舞台にした恋愛模様を描いた短編集です。
男性がだらしないことで起こる出来事がメインで書かれているので、恋愛小説ではなくて楽しみながら読めるエンターテイメント系の作品となっています。なので難しいこと考えずに楽しみながら読めます。
読んでみると、修羅場が起こしておいてそれくらいで寄りが戻るわけない、などと思ってしまいますが、内容そのものはリアルに描いているわけではないのでそこは軽く流しましょう。
ミステリー要素はまったくありませんが、短編集ではありながら全部の章がちゃんと繋がっているあたりは東野さんらしい。

作中にて「浮気をした相手と結婚し、その弱みをネタに自分は楽して夫を一生下僕にする」という考えが出てきます。
この発想は賢いなと感心しました。弱みというとオブラートな表現ですが、つまりは罪悪感を相手に植え付けてコントロールするという考えです。浮気を弱みとするのは少々時代遅れではありますが、最近だと「かなり年上の人と結婚する」といった別の弱みで似たことはしているように見えます。
罪悪感の扱いで難しいのは許すつもりがないことをバレさないようにすることです。それがバレてしまうと、相手は強行手段で逃げてしまいせっかくの良い状況が崩されてしまいます。今まで見てきた感じですとバレずに罪悪感で縛れるのは保って1年くらいなので、長く保つよりは次々相手を変えていくのがいいのではと思います。

この作品が今年最後になりそうです。それでは皆様良いお年を。