花の本棚

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雫井脩介 犯人に告ぐ

雫井脩介犯人に告ぐ
この本の続編がいつの間にか出ていたので前作の書評を掘り出してきました。

 



主人公は過去に誘拐事件の捜査に失敗し、記者会見でメディアに喧嘩売った警察官。連続児童殺人事件が起きたが一向に操作が進まないため、テレビのニュース番組に出演して情報収集の呼びかけと犯人のおびき出しを狙う。世間や内部からの非難を浴びながらも孤独に捜査を進めていく、というお話。

メディアと警察の絡みのあたりとかは斬新で面白いです。女性ニュースキャスターの気を惹くために機密事項を流出させる官僚が出てきたりとか。仕事とプライベート混同する人が如何に情けなく見えるかがよく分かります。

今まで読んできた本で一番メイン登場人物の平均年齢高いかもしれない。20代は一人も出てない。そのせいかセリフに重みがある。なので作中で印象に残ったセリフが何個かありました、その一つが以下。
「人を叩き過ぎてはいけない。痛そうにしないから痛くないんだろうと思ったら大間違いだ・・・その人が我慢しているだけですからな」
かつて私が学生だったとき部活の先輩から「先輩にはドMになれ」という言葉を聞いていました。部活動なら給料が出たり査定が上がったりするわけでもないのに教えてくれる、という点で先輩の言葉を聞こうという理由がありました。
が、社会人でこれを言って来る人から学ぶべき点は一つもないので耳を貸さなくていいです、百害あって一利なし。

話としては長くて濃いのでじっくり本読みたいって人には良いと思います。50代の重い言葉などが好きな人はぜひ。