花の本棚

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小林泰三 アリス殺し

小林泰三 「アリス殺し」
あらすじ読んでみて面白そうだったので読んでみました。
 

 
主人公の女性は不思議の国にいるアリスの夢を毎晩見ていた。夢の中でハンプティダンプティが墜落死したのち、現実でも同じ大学の学生が墜落死していた。同じ大学の学生によると墜落死した学生は毎晩不思議の国でハンプティダンプティになっていたという。夢の世界ではハンプティダンプティ殺しの犯人としてアリスが容疑者となっており、このままでは死刑にされてしまう。真犯人を探すために夢と現実の両方から調査するというお話。
 
話の構成のコンセプトがとても面白い。不思議の国で動物になっている人は現実の記憶がうまく思い出せない、という設定があって謎が生まれたりとほかの作品にない面白さがあります。
細かい世界観におかしなところがチョイチョイありますが、不思議の国だし良いかという気で読めばあまり問題になりません。
 
ただ、文章全体の表現の仕方が回りくどくて読んでてイライラします。伊坂幸太郎リスペクトなのかな?という文章です。
私は伊坂幸太郎の書き方を嫌悪しているので上で書いた面白さよりも苛立ちの方が強くなってしまいました。
「不思議の国の住人は頭が良くない。現実世界の人とリンクさせているので現実の人も話し方が変」ということを表現しようとしているのでしょうけど、一言で済む表現を何行もかけて書く手法は気に入らない。
 

内容がつまらないかと言われるときわどいですが、私と同様に伊坂幸太郎と相性悪い方は読まない方が良いです。好きという方にはおススメです。