花の本棚

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大原省吾 計画感染

大原省吾 「計画感染」
読んだことのない作家。面白い本として紹介されていたのを目にして買ってみました。

 

 

ある飛行機の車内で団体客が次々と体調を崩していく。車内に居合わせた医者の見立てによるとインフルエンザと診断されるが、それは今までにない新型のウィルスであった。一方場面と時間を遡りタイの川べりで男性が目を覚ます。名前すら思い出せない状態となっていて、持ち物は鍵のかかったアタッシュケースのみであった。おぼろげな記憶から日本へ行かなくてはならないという思いだけで追手から逃げながら日本へ向かう。新型ウィルスを巡った陰謀と保身が見え隠れするエンターテイメントというお話です。

 

SF風のエンターテイメント小説です。作風としては「ジェノサイド」とか「天空の蜂」と同列です。
まるで映画を見てるような展開の速さと面白さがあります。別々の視点だった登場人物の場面が一つになるところから一気読みできるくらいです。
370Pくらいの本ですが、一日ちょっとで読めてしまった。
エンターテイメント系なので深い話などはありませんが、その分頭の中を空にして気分良く読めます。

 

実際に新型のウィルスが発生したら、たぶんこうなるだろうなというリアルさがあります。感染者を救いたいけど、上陸させたらもっと被害拡大してしまうし、ではどうするか・・・と政府が悩んでいる場面なども実にそれっぽい。その時運悪く総理大臣だった人はきっと寿命が縮むでしょう。

 

あと余談ですが、読みながらボードゲームの「パンデミック」を想像してしまっていた。あれは面白い。

 

まだ発行されて一年経ってないので売れたら映画化とかするかもしれませんね。したらきっと面白いと思います。