花の本棚

読んだ本の感想や考えたことを書いています

方丈貴恵 アミュレット・ホテル

方丈貴恵 「アミュレット・ホテル」あらすじを読んで面白そうだったので買ってみました。 「アミュレットホテル」は警察の介入がなく、ルームサービスとして武器や偽造品の配送、遺体の火葬などのサービスも提供してくれるため犯罪者にとって楽園のような人…

神津凛子 オイサメサン

神津凛子 「オイサメサン」神津さんの新刊が出ていたので買ってみました。 主人公の女性は小学生のころから霊が視えるようになった。特に赤い服の女性の霊をよく見かけ、霊への対策として「オイサメサン」の指輪という祖母からもらった魔除けを身に着けて暮…

犬塚理人 眠りの神

犬塚理人 「眠りの神」知り合いが教えてくれた作品。犬塚さんの作品はかなり前に「人間狩り」を読んで以来です。 主人公の女性医師はスイスにて安楽死を執行するボランティア団体に所属していた。尊厳ある死を提供する手伝いをしている、と自分では考えてい…

市川憂人 ヴァンプドッグは叫ばない

市川憂人 「ヴァンプドッグは叫ばない」市川さんの新刊が出ていたので買ってみました。「ジェリーフィッシュは凍らない」から続くシリーズの最新刊となります。 主人公の警部たちは強盗集団の行方を追っていたが、応援要請を受けて別の市に向かっていた。要…

染井為人 黒い糸

染井為人 「黒い糸」染井さんの新刊が出ていたのでさっそく買ってみました。8月末に気になる新刊がいくつか出てきたので新刊の投稿が続きそうです。 結婚相談所に勤めるシングルマザーの女性は怒りのあまり会員とトラブルを起こしてしまう。その会員から恨み…

下村敦史 逆転正義

下村敦史 「逆転正義」下村さんの新刊が出ていたので買ってみました。 正義感をテーマにした短編集となります。日常生活やSNSの中で行き過ぎた正義感によって炎上やトラブルにつながることがよく見られるようになったことに対しての警笛として本書が描かれて…

新川帆立 縁切り上等!

新川帆立 「縁切り上等!」あらすじを読んで面白そうだったので買ってみました。 夫の浮気を知ってしまったのを境に彼のすべてに耐えられなくなった妻が子供を連れて夫から逃げていた。逃亡の最中に匿ってくれた女性は縁切寺の娘であり離婚を専門とする弁護士…

おぎぬまX 爆ぜる怪人 殺人鬼はご当地ヒーロー

おぎぬまX 「爆ぜる怪人 殺人鬼はご当地ヒーロー」タイトルに惹かれて買ってみました。「このミス」大賞2023の隠し玉の一つとなります。 主人公はご当地ヒーローの運営会社でヒーローや怪人をデザインしていた。あるとき少年が誘拐される事件が発生したが、…

櫛木理宇 少年籠城

櫛木理宇 「少年籠城」櫛木さんの最新の作品が面白そうだったので買ってみました。 主人公は子ども食堂の主人。街の河原で児童の遺体が発見され、児童に性的暴行を繰り返していた少年が犯人として疑われていた。その少年は子分の子とともに追ってきた警官か…

霞流一 エフェクトラ

霞流一 「エフェクトラ」あらすじを読んで気になったので買ってみました。 主人公の探偵は名脇役と称される役者に依頼されて彼が作成した役者育成のリハーサルスタジオを訪れていた。この現場で名脇役のセレモニーを開催することとなり、それを祝うために何…

三日市零 復讐は合法的に

三日市零 「復讐は合法的に」あらすじを見て面白そうだったので買ってみました。 主人公の弁護士が法律の知識を使って合法的復讐の代行を請け負うミステリー短編集となります。このミス大賞2023年の隠し玉の一つとなっています。法律に沿わないからこそ法で…

夏川草介 勿忘草の咲く町で 安曇野診療記

夏川草介 「勿忘草の咲く町で 安曇野診療記」あらすじを読んで内容が気になったので買ってみました。 高齢者の地域医療を担っている病院に研修医の男性が配属される。高齢の患者ばかりを相手にするため若い研修医の未来のためにならないと受け入れを渋る中で…

逸木裕 世界の終わりのためのミステリ

逸木裕 「世界の終わりのためのミステリ」逸木さんの新刊が出ていたので買ってみました。 舞台は人間の意識と記憶を移植できるヒューマノイドが開発された世界。ある女性型ヒューマノイドが目覚めると人類は消失しており、数少ないヒューマノイドだけが活動…

小川哲 君のクイズ

小川哲 「君のクイズ」以前から気になっていた小川さんの作品を読んでみました。 主人公は競技クイズプレイヤーでクイズ番組の決勝戦に出場していた。勝者が決まる最後の問題にて対戦相手は問題文が読まれる前に正解言い当てて優勝してしまう。同大会の出場…

早坂吝 〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件

早坂吝 「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」前に読んだ早坂さんの本で知り合いに紹介してもらった作品があったので読んでみました。 主人公の男性はブログで知り合った仲間が所有する孤島で開催されるオフ会に参加していた。ブログの持ち主が無断で恋人の女子高生…

千早茜 赤い月の香り

千早茜 「赤い月の香り」「透明な夜の香り」の続編が出ていたので買ってみました。 主人公の男性は調香師である男性からの誘いで彼の館で働くこととなった。彼は優れた嗅覚を持っており、過去の思い出の香りなど依頼人からオーダーされた香りを作り上げる仕…

桃野雑派 老虎残夢

桃野雑派 「老虎残夢」以前桃野さんの 「星くずの殺人」が面白かったので他の作品を読んでみました。こちらは第67回江戸川乱歩賞となった作品です。 主人公は武術の達人を師とする女性。あるとき師が奥義を授ける相手として3人の達人を館に呼んだ。3人のいず…

小林由香 この限りある世界で

小林由香 「この限りある世界で」小林さんの新刊が出ていたので買ってみました。 ある女性編集者が新人文学賞へある作家の作品を強く推薦した結果、その作品が受賞することとなった。しかしその後新人賞を受賞できなかったことを理由に他の候補作品の筆者で…

ヒキタクニオ 触法少女 誘悪」

ヒキタクニオ 「触法少女 誘悪」以前読んだ同著者の「触法少女」の続編が出ていることに気づいたので読んでみました。 母親を殺害した少女が少年院から仮退院してきた。彼女が退院する日、女性刑事が訪ねてきて入院前に自分と親しかった同級生が自殺したこと…

久坂部羊 砂の宮殿

久坂部羊 「砂の宮殿」久坂部さんの新しめの作品を読んでみました。 主人公の外科医は海外の富裕層をターゲットにしたクリニックを経営していた。優秀な仲間とともに高額ながらも最先端のがん治療を順調に続けていた。あるときクリニックの立ち上げで懇意に…

早坂吝 しおかぜ市一家殺害事件あるいは迷宮牢の殺人

早坂吝 「しおかぜ市一家殺害事件あるいは迷宮牢の殺人」あらすじを読んで面白そうだったので買ってみました。 しおかぜ市にて一家3人が殺害され金品を強奪される事件が発生する。犯人である男性は犯行に及ぶ前にその一家の父がわざと女性にぶつかったのを目…

染井為人 滅茶苦茶

染井為人 「滅茶苦茶」染井さんの新刊が出ていたので読んでみました。 コロナの流行によって人生が悪い方に転がってしまった3人のエピソードを描いた作品。コロナによる日頃の鬱憤を晴らすために不良とつるみ始めてしまった高校生、コロナ最中の寂しさに耐え…

窪美澄 たおやかに輪をえがいて

窪美澄 「たおやかに輪をえがいて」窪さんの作品で面白そうなものを見つけたので読んでみました。 主人公の女性は結婚して二十年間、平穏に暮らしてきていた。あるときクローゼットの中に風俗店のポイントカードが落ちているのを見つけてしまう。そのことを…

浅ノ宮遼 臨床探偵と消えた脳病変

浅ノ宮遼 「臨床探偵と消えた脳病変」以前浅ノ宮さんの「情無連盟の殺人」を読んで面白かったので別の作品を読んでみました。 臨床探偵と呼ばれる診断の天才である医師が患者たちに起きている謎の症状について真相を探るという医療系のミステリー短編集にな…

詠坂雄二 5A73

詠坂雄二 「5A73」先日アメトークで紹介されていたと知人から教えてもらった作品を読んでみました。 二人の刑事の元に不審な連続自殺の捜査依頼が来ていた。遺体には「暃」という文字が描かれたタトゥーシールが貼られていたのだが、この文字はJISコード上に…

千早茜 しろがねの葉

千早茜 「しろがねの葉」2022下期の直木賞受賞作品を読んでみました。 時代は戦国末期、主人公の少女は生まれ故郷の村から脱走する最中で石見銀山の山師に拾われる。石見銀山は銀の採掘が盛んであったが山を守るために採掘をコントロールするのが山師の役目…

小宮一慶 あたりまえのことをバカになってちゃんとやる

小宮一慶 「あたりまえのことをバカになってちゃんとやる」最近私の会社のマネージャーたちの間で「当たり前のことを当たり前にやる」を流行らせようとしているらしく、先月私もその洗礼を受けました。こんなゴミみたいな言葉を流行らせるつもりなのか?と反…

夕木春央 方舟

夕木春央 「方舟」コミュニティでも話題になっていた作品を読んでみました。 主人公たちは山奥にある地下施設「方舟」で一晩明かすことになった。翌朝地震が発生したことで出入り口が岩で塞がってしまい、地下から水が施設内に流れ込み始めてしまう。脱出の…

黒川博行 後妻業

黒川博行 「後妻業」気になってはいたけどずっと後回しになっていた作品を読んでみました。 91歳の男性が妻に先立たれた後に69歳の女性を後妻として迎えた。後に男性は倒れて搬送されるがこれは後妻が持病の薬をすり替えて起こしたものであり、すぐに死ぬと…

薬丸岳 最後の祈り

薬丸岳 「最後の祈り」薬丸さんの新刊が出ていたので買ってみました。 主人公の男性は牧師をする傍らで受刑者の教誨師のボランティアをしていた。あるとき結婚を間近に控えた娘が殺害されてしまい、犯人である男性は娘を含め4人殺害していたため死刑判決が下…